トード・リッキング
トード・リッキング toad licking
定期的に浮上する、出典の怪しいドラッグの流行。1994年にカリフォルニア州ソノマ市の教員が2人逮捕されたときにこの噂話は再び復活した。この2人はブフォテニンという物質を所持していたのだが、これはLSDにも似た幻覚剤で「ブフォ・マリナス」と「ブフォ・アルヴァリウス」という蛙(別名、デザート・トード、ケーン・トード、コロラド・リヴァー・トードと呼ばれる)の毒から精製することができる。蛙の、乳液のような粘液状の分泌物を乾燥させたのちに残る結晶化した残滓を喫煙することによって20分間の超トリップが生じる。それにもかかわらず、「トード・リッキング(蛙を舐める)」という噂話が、警察とハイ状態を求める人々の間の双方でたちまち拡がり、とりわけこの皮の厚い重さ2ポンド(約900グラム)の蛙がありふれているアリゾナ州で大きな話題を呼んだ。トード・リッキングに対するドラッグ・カルチャーのただならぬ関心は古くは1960年代後半にまで遡ることができる。当時、DEA(薬品管理局)は「ブフォテニン(DMTの一種が含まれている)」所持に対する罪の重さを、LSDやヘロインと同程度にまで引き上げた。80年代後半にはオーストラリアで報告された、過去における蛙の異常繁殖と過剰摂取(「ブフォテニン」はほんのわずかの摂取量でも致死量に至ることがある)の話は、アメリカのメディアでこの話をさらに大きくした。(「オルタ・カルチャー」スティーヴン・デイリー(編集) 吉岡正晴(翻訳))