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ロックから渋谷系へ――「けいおん!」から「たまこまーけっと」へ――

アニメ 論考

 というタイトルだけ思い付いて後は特に何も考えてないんだけど、まあ「けいおん!」と「たまこまーけっと」のOPを聴き比べるだけでもロックから渋谷系への移行が行われているというのは誰の目にも明らかなわけだけれども。トポス論的に見ても「けいおん!」における主に部室(=スタジオ)と体育館の演壇(=ライブハウス)という極めてロック的/閉鎖的な空間から「たまこまーけっと」では商店街というストリート(あくまで渋谷というタームに固執するなら渋谷センター街)的な空間へと移行している。さらに小道具を見てもギターやドラムといったロック的な楽器からレコードプレーヤー(ターンテーブル)というこれまた渋谷系/DJ文化を彷彿とさせる楽器へとシフトしている。要するに「たまこまーけっと」は徹底的にロック的な要素を排除した上に成り立っている。
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ロック的な楽器の排除とターンテーブルの導入f:id:shiki02:20130206190541p:plain
 キャラクターを見ても「たまこまーけっと」は幼女版あずにゃんみたいな明らかなロリ化への傾向が顕著に見られる。渋谷系とロリの相性の良さとか言い出したらキリが無いだろうけど例えばセルジュ・ゲンズブールとかね、フランスはとにかくロリータ大国でそういう文化が渋谷系ダイレクトに入ってきてる。セルジュ・ゲンズブールと「たまこまーけっと」の関係性をもうちょっと書くと、例えば北白川あんこは「あんこ」と呼ばれると「私のことはアンって呼んでよ!」って怒りますよね。これは何故なのかよくわからなかったんだけど、セルジュ・ゲンズブールがプロデュースした所謂フレンチロリータの代表格とされている歌手フランス・ギャルの本名がイザベル・ジュヌヴィエーヴ・マリ・アンヌ・ギャルで愛称がアニーだったということに思い至って氷解。余談になるけどフランス・ギャルにはゲンズブールが作詞作曲した「アニーとボンボン」って曲があってその中に「アニスの香りをつけた、大麦糖の飴が、アニーの喉を通る時、彼女は天国に上る気持ちなの」という歌詞があるんだけどこれは言うまでもなくダブルミーニングを含んでるんですね。それで当時19歳の彼女(それほどロリータって年齢でもないですね…)はヒット後に歌詞に秘められた意味を知って何週間も自宅から出てこなかった、なんてエピソードもある。まあここら辺の知識はぜんぶ川勝正幸の著書から仕入れたんだけど。他にもフレンチロリータとされている歌手にはアニー・フィリップとかもいるし、とにかくフレンチロリータとアンっていう名前は物凄く親和性が高い。つまり北白川あんこは自分のことをアンと呼ばせることによって自分を往年のフレンチロリータたちと同一化させようとしている、という解釈も成り立つわけですね。
 といっても萌えアニメと渋谷系との関係で云えば2004年に「月詠」が既にやってるしそれほど目新しいものでもない。周知のとおり「月詠」のOP曲はDimitri From Parisが作曲しているし、ED曲もフランス語バージョンが存在した。あれもウィスパーボイスで実に渋谷系っぽかった(ちなみに挿入歌の「波のトリコになるように」の作曲はスパンクハッピーその他でお馴染みの菊地成孔)。シャフトはその後もウィスパー系の花澤香菜に「恋愛サーキュレーション」とか歌わせてるしシャフトは渋谷系を巧く使ってる印象がある。むしろなぜ今さら京都アニメーション渋谷系に接近したのかよくわからない。という感じで結局結論も中途半端でうやむやのままなわけだけど、まあ何も考えないで書きはじめたし仕方が無いよね。

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