フルートピア

フルートピア Fruitopia

60億ドルにも上るオルタナティヴ飲料市場を巡り、1994年3月、スナップルに対抗して、コカ・コーラ・カンパニーにより新発売された清涼飲料水。コーン・シロップと果汁を混成してできたこの飲料は、その宣伝方法を除けば取り立ててこれといった特徴のないものだった。3000万ドルにも上るその初年度の宣伝予算の大半はキアット/デイの2人の手による一連のテレビ/映画広告に費やされた。そこでは万華鏡のような雰囲気のレイヴ的なグラフィックがイギリスの妖精的雰囲気の歌姫、ケイト・ブッシュの音楽とともに繰り広げられていた。「フルートピアな世界へようこそ」というニュー・エイジ的なテーマはまるでフォレスト・ガンプ(同名映画の主人公)のようなスローガンで伝えられた。中にはたとえば、「差別のないフルーツの社会ではリンゴはパイナップルとは争わない」(これはフルートピアの初期に発売された種類のひとつ「ストロベリー・パッション・アウェアネス」への宣伝文句)とか、「シトラス(柑橘類)・コンシャスネスはあなたの舌にさえ、これだけの効果をもたらします。あなたの魂に対する効果を想像してみてください」などといったものがあった。「消費者のはたきかけ」をきっかけとして、より軽めの味が、1994年11月に2種類追加された。また、アドバタイジング・エイジ誌が報じたところによると、1994年4月にはオハイオ州のマイアミ大学に在学中の元学生2人が、1991年にコカ・コーラ社主催によるマーケティング・プロジェクトの一環として「フルートピア」の名前を考案したと主張、同社はそのプロジェクトから生まれた発想の所有権を持っているにも関わらず、いかなる関係をも否定した。(「オルタ・カルチャー」スティーヴン・デイリー(編集) 吉岡正晴(翻訳))