雑記

自殺の様式

自殺においても様々なる意匠がある。といってもそれは首吊りであるとか飛び降りであるとかそのような外面的な様式の選択ではない。そうではなく、内的な、もっと云えば実存的な――その人間のパーソナリティと切っても切り離せない、強いられるものとしての様…

文士と薬物・序説

大正・昭和期の文人の文章を読んでいるとベロナールやらジアール等の普段聞き慣れない薬物名をちょこちょこ見かけるので気のままに引用などしてみながら当時の文壇ドラッグ・カルチャーに一抹の光を当ててみたいと思い至った次第である。 床に横になると、舌…

日本の天皇は実のところユダヤ人でもあり中国人でもあった、という話

ユダヤ資本やフリーメイソンといった語句を駆使する反ユダヤ主義的陰謀論はいつの世にもあるが、日本におけるその根を辿ると意外なことに親ユダヤ思想にも行き着くので戸惑うことになる。しかもこの根は厄介なことに近代日本におけるイデオロギー(右左関係…

カリフォルニア・イデオロギー、インターネット、天皇

今日び抽象的な「国家」という概念をポジティブに定義付けようなんて思想的試みが流行らないのもグローバリズムが世界を覆い尽くしている現状を鑑みれば当然だ。しかし国家という概念がいくら希薄化しても排外主義が無くなるわけではないしむしろ逆説的なこ…

康生についての覚書

康生は1898年に山東省に生まれた。当時の中国は日清戦争の敗北による挫折感と無力感が支配していた。政治権力を握った西太后は光緒帝による改革運動である戊戌の変法を潰しクーデターを実行。光緒帝を紫禁城に幽閉し、譚嗣同ら6人の官僚を処刑した。さら…

甘美なる死

フーコーの晩年における「自殺」に関する発言を適当に抜粋してみる。 フーコー:しばらく前から頭を離れないことの一つは、自殺するのがどんなにむずかしいものか、自分にもわかってきたということなのです。手近な自殺の方法に何があるか、ちょっと数え上げ…

西丸四方の佯狂法(精神分裂病編)

ようきょう[やうきやう] 【▼佯狂・陽狂】狂人のふりをすること。また、その人。にせきちがい。 ( Yahoo!辞書) 典型的な精神分裂病の公式は次のようになっている。この病気が始まった途端に周囲の世界は怪しく何か意味ありげになる。次に、その意味がはっ…

吾妻ひでお、マイルス・デイヴィス

革命家は知っている。逃走は革命的で、引きこもりや気まぐれさえも、テーブルクロスを引っ張って、システムの一端を逃げ出させるのなら革命的である。ジョン・ブラウンのやり方で、みずから黒人にならざるをえないことがあるとしても、壁を通り抜けること。…

トード・リッキング

トード・リッキング toad licking定期的に浮上する、出典の怪しいドラッグの流行。1994年にカリフォルニア州ソノマ市の教員が2人逮捕されたときにこの噂話は再び復活した。この2人はブフォテニンという物質を所持していたのだが、これはLSDにも似た幻…

フルートピア

フルートピア Fruitopia60億ドルにも上るオルタナティヴ飲料市場を巡り、1994年3月、スナップルに対抗して、コカ・コーラ・カンパニーにより新発売された清涼飲料水。コーン・シロップと果汁を混成してできたこの飲料は、その宣伝方法を除けば取り立…

OKソーダ

OKソーダ OKsoda1994年半ばにコカ・コーラ社によって、地域限定で発売された地味な清涼飲料水。コーク社の宣伝担当だったセルジオ・ザイマン(彼はまたニュー・エイジ的「脳活性飲料」のフルートピアも開発した)の発案によるこの新商品、OKソーダはジェ…

クリスチャン・ラップ

クリスチャン・ラップ Christian rap静かな流行となっている音楽の一種。キリストのメッセージを乗せたラップ。前向きなミュージシャンたちが力強いビートに乗せて健全なメッセージを伝える。クリスチャン・ラップで特筆すべき成功例はDCトークで、リバティ…

インターネットの敗北

今回の地震で考えた(ほとんど)唯一のこと、それはインターネットの敗北ということ。散々デマを拡散させまくったインターネット(ツイッター)に対し、自ら自分の足を使って被災地の避難所に救援物資を届けた江頭2:50の行動が(なかばヒーローのように)評…

大文字の他者

ラカンから影響を受けたジジェクもそのジジェクから影響を受けた(と思われる)大澤真幸も結局彼らの思想は次の一言で要約できるかと思われる。すなわち、「我々は神亡き後の科学的で合理的な近代の時代を生きているが、それでも無意識のうちでは神を信じて…

超越論的地平としての言葉と死の欲動

前回の補足。カントの超越論的=アプリオリな形式的カテゴリーはフロイトにおいては「無意識」として定式化されていました。ここでは少し振り返ってラカンにおける無意識=超越論的カテゴリーについて軽くおさらいしておきましょう。簡単に一言で言うとラカ…

哲学(精神分析)とオカルトの違いについて

精神分析(ここでは主にフロイトとラカン)は反証可能性が無いから疑似科学でありオカルトである、というよくありそうな批判を仮想的に立ててこれについてちょっと考えてみよう。まず、そもそも精神分析は科学ではない。なぜなら精神分析は超越論的な次元で…